検知器

 

検知器特性表

 

各種検知器には使用可能な波長範囲や検出能力や応答性などの特徴があります。
 

検出器名称

素子原理

波長 

比検出能力

D*cm/Hz1/2

冷却

応答性 

フォトマル(PMT)

光電子増倍

120~1100nm

印加電圧による 

常温・電子 

高速

Si 

フォトダイオード 

190m~1100nm 

5×1013

常温・電子

高速

Ge

フォトダイオード 

0.8~1.8µm

1×1011

常温・電子・液体窒素

高速

InGaAs

フォトダイオード 

0.7~2.6µm

5×1012

常温・電子

遅い

PbS

光導電素子

1~3.6µm

1×1011

常温・電子・液体窒素

遅い

InSb

光起電力素子 

1~5.5µm

1.5×1011

液体窒素

高速

MCT(HgCdTe)

光導電素子

2~16µm

2×1010

電子・液体窒素

高速

熱電対・熱電堆 

Cu・同ニッケル合金等 

窓材による

5×108

常温

遅い

(注)種類によって感度波長・比検出能力は異なります。比検出能力は最大感度波長における値です。使用するシステムによって性能は変わります。

 

 

フォトマル(Photomultiplier Tube 光電子増倍管)

 

フォトマルとは光センサの中でも高感度、高速応答、低雑音性などの特徴をもつ紫外から可視域でもっとも感度が高い光検出器です。光を電子に変換する陰極(光電面)、収束電極、電子増倍部、電子を集める陽極を真空の容器に集めたものです。フォトマルの光電面に入射した光により光電子が放出され、これらは加速され増倍電極に衝突して2次電子を生じます。これが次々とカスケード的に起こり、最後に信号電流となって取り出されます。フォトマルの光電面は入射光子を光電子に変換する。その変換効率は入射光の波長によって異なります。フォトマルは完全な暗中にあるときでも微小な電流を出力します。この電流のことを陽極暗電流といい、これに起因するノイズがフォトマルの検出能力を決める要因になります。

フォトマルには印加電圧電源として0~1000Vが必要になります。陽極暗電流は印加電圧によって大きく変化します。

フォトマルには大きく分けてサイドオン型とヘッドオン型があります。

ヘッドオン型はユニフォミティ(面内均一性)と偏光特性に優れています。

フォトマルを選択する際は、受光面の量子効率・電流増倍率(ゲイン)・検出効率・陽極暗電流・応答時間等を考慮する必要があります。また、フォトマルに白色光など強い光を当てると大電流が流れ、破損するので、注意が必要です。

 

 

BPMSeries フォトマルユニット(光電子増倍管ユニット)

  • サイドオン型とヘッドオン型の2種類をラインナップ
  • フォトマル・フォトマルホルダ・フォトマル電源で構成
  • プリアンプ内蔵の有無を選択可

 

 

フォトダイオード

 

フォトダイオードは、光の照射によって半導体などの材料内で、逆方向電流が発生する光電変換素子です。

 

 

BSIseries Siフォトダイオード

 

  • 紫外から近赤外域まで感度をもつSiフォトダイオード
  • 波長200~1100nmに対応
  • 高感度なプリアンプ内蔵タイプや低ノイズな冷却タイプをラインナップ

 

BINseries InGaAsフォトダイオード

  • 近赤外域に感度をもつInGaAsフォトダイオード
  • 波長900~2000nmに対応
  • 高感度なプリアンプ内蔵タイプや低ノイズな冷却タイプをラインナップ

 

 

光導電素子

 

光導電素子は、照射される光の強度によって抵抗値が変化することを利用した光電変換素子です。

冷却すると分光感度は長波長側へシフトし暗抵抗が大きくなり感度が上がるが、周波数特性が悪くなります。

 

 

光起電力素子

 

光起電力素子は、光吸収によって半導体内に電子と正孔を生成する光起電力効果を利用したものです。

 

 

熱電対、熱電堆

 

熱電対(サーモカップル)は、2種類の金属線の一端を合わせて接合点を作って熱接点とし、他点はヒートシンクとして働く金属フレームに冷接点として接続します。赤外光が熱接点に照射されて生じる熱起電力、あるいは閉回路にして流れる熱電流を測定することにより入射光強度を測定するものです。

熱電堆(サーモパイル)は、2個以上の熱電対を直列につないで高電圧出力、もしくは並列につないで大電流出力を得るようにしたものです。感度が低いですが、感度の波長依存性がないため、その特性を利用して測定系の分光感度補正などに利用されます。

 

 

MCD(Multi Channel Detector)

 

 検出器 素子原理  波長 

感度

photon/cm2 

冷却  応答性 

Siフォトダイオードアレイ

フォトダイオード 

190~1100nm 

107~108

常温・電子・液体窒素 

 

CCDフロントイルミネート

 

400~1000nm

107~108

常温・電子・液体窒素

高速 

CCDバックイルミネート

 

150~1000nm

107~108

常温・電子・液体窒素

高速

イメージインテシファイアCCD

 

150~900nm

1010~1015

電子・液体窒素

高速

(注)種類によって感度波長は異なります。使用するシステムによって性能は変わります。

Image Intensifer Tubeの出力光は波長550nmにピークがあり、これは蛍光体の特性から決まります。増幅率は電気的に変えることができます。

 

 

MCD(Multi Channel Detector)は、一列あるいは二次元にSiフォトダイオードを並べた検知器である。ある幅の波長領域のスペクトルを同時に測定できる特徴があります。波長スキャンが不要なため、測定時間は速いです。主にフォトダイオードアレイとCCDの2種類があります。

フォトダイオードアレイは、Siフォトダイオードを並べたものでCCD等と同じように分光器に配置しますが、CCD等のように照射した光を同意に取り込むのではなく順次フォトダイオードの情報を読み込むために時間差が生じます。

CCD(電荷結合素子)は平面上にSiフォトダイオードが並べられています。フロントイルミネートとバックイルミネートというタイプがあり、フロントイルミネートは量子井戸に溜まった電荷を読み出すためのゲートを光電面の上につけているタイプであり、バックイルミネートは量子井戸の下につけているタイプです。ゲートは光学的にはフィルタとして働くため、フロントイルミネートタイプは光を減衰させます。この為、バックイルミネートタイプのCCDの方が一般的に高い量子効率となります。

イメージインテシファイア(Image Intensifier)は光電子増倍作用を2次元平面で行うものです。光電子増倍作用を利用して弱い光の像を明るい像に変換します。装置の前面に結合された物体の像は光電面の明るい部分、暗い部分に対応した光量に比例する数の電子を放出します。光電子は光電面とこれに相対する蛍光面の間にかけられた電圧で加速され、途中に置かれた電子レンズによって収束され、蛍光面上に結像します。電子は加速されて大きな運動エネルギーをもっているため、蛍光面に衝突した際、入射光よりもはるかに明るい光を発します。