BIP-KV100 イオン化エネルギー測定装置 (9.54~4.0eV 卓上型タイプ)
有機ELや有機薄膜太陽電池などの有機半導体材料において、イオン化エネルギー(イオン化ポテンシャル)や仕事関数を求めることは非常に重要です。
一般的にイオン化エネルギー(イオン化ポテンシャル)/仕事関数の測定は、UPSやXPSなど光電子分光法が用いられていましたが高真空雰囲気でしか測定が出来ず、有機デバイスは雰囲気の影響が非常に大きい為、様々な雰囲気ガス下での測定が求められてきました。
“BIP-KV100イオン化エネルギー測定装置”は、光電子収量分光(Photoelectron Yield Spectroscopy PYS法)を用いることで、大気・窒素・真空の雰囲気下においての測定が可能となりました。分光器および光学系を窒素パージタイプにすることで、最大9.54eVまでの真空紫外光を試料に照射することが出来ます。
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カタログ(PDF) |
測定法
光電子収量分光法(PYS法)
単色光を試料に照射し、そこから放出される光電子の収量を電流として測定し、励起単色光の波長を掃引して光電子の収量の変化からイオン化エネルギー(イオン化ポテンシャル)を検出します。
参考論文
- TiO2, SrTiO3, BaTiO3のイオン化エネルギー測定をした参考論文です。
Comparative study of conduction-band and valence-band edges of TiO2,SrTiO3,and BaTiO3 by ionization potential measurements
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0009261417307017
Jun-ichi Fujisawa, Takumi Eda, Minoru Hanaya
- ZnO, ZnOに吸着した有機化合物のイオン化エネルギー測定をした参考論文です。
特長
- バックグラウンド測定とサンプル測定は、試料台スライド機構により連続測定が可能で、設定した雰囲気下(大気・窒素・真空)を保った状態で測定が可能です。
- 光電子収量分光法(PYS法)を用いることで、13桁(10fA~100mA)の超高感度を実現しました。
- 市販品のドライ真空ポンプおよび複合分子ポンプなどの取付が可能なポートを搭載しています。
- オプションの測定領域拡張ユニットにより、3.4eV~の測定が容易に対応ができます。
測定データ
測定項目
①バックグラウンド測定:
光電子増倍管で試料に照射する光を前もって測定しフォトン数を算出する。
②サンプル測定:
試料に電子が放出されやすいよう電圧を印加しながら各波長の光を照
射して、放出されたエレクトロン数を電流から算出する。
③イオン化エネルギー(イオン化ポテンシャル)のデータ処理:
Y ∝ (hν-I)n
Y = 計測した放出エレクトロン数/照射フォトン数
h プランク定数
ν 振動数
I 閾値
n 試料の占有状態の上位のエッジにおける電子密度に依存する
パラメーター n は2 か3 のみ選択可。
仕様
測定原理 | 光電子収量分光(PYS法) |
測定波長範囲 | 9.54~4.0eV(130~310nm) |
最小測定間隔 | 0.01eV |
測定分解能 | 10fA~100mA |
試料室雰囲気・ポート |
大気・窒素・真空対応可 ・ 真空ポンプ取付用VG65ポート・NW25ポート |
照射光面積 | 約1×3mm(スリット及び縦絞りによる) |
波長分解(波長幅) | 0.08eV(4.2nm) *波長256nmにおいて |
試料の配置 |
水平置き 試料セット数1個 |
測定試料サイズ | 最大60×60mm・最小10×10mm 厚み4mm以内 |
ドアスイッチ | 内部印加電圧電極安全用・フォトマル印加電圧用 |
分光器構造・光学配置 | 窒素パージ構造(光源及び高次光カットフィルタ内蔵)・収差補正ツェルニターナ配置 |
波長駆動 | ステッピングモータ・サインバー方式(GPIB制御) |
分光器焦点距離 | 100mm |
分光器口径比 | F=3.5 |
機械的波長範囲 | 0~400nm *回折格子2400本の場合 |
波長正確さ・繰り返し精度 | ±1nm *長波長より設定 |
配管系導入 | IN2箇所(Swagelok1/4 )・OUT2箇所(Swagelok3/8)・リリーフバルブ・流量計・ストップバルブ |
光電子収量測定器 | 微小電流計(サブフェムトアンペアリモートソースメータ) |
照射光量検知器 | 光電子増倍管(波長130~310nm分光感度検定書データ付) |
ソフトウェア制御機能 | 分光器制御、光電子測定機能、イオン化エネルギー(仕事関数)の算出機能、状態密度の算出 |
ソフトウェア保存機能 | データバイナリ保存および再表示機能、テキスト保存 |
標準構成
●重水素ランプ 30W (MgF2窓 自然空冷)
●重水素ランプ電源
●窒素パージ式分光器
●回折格子2400本/150nmブレーズ(MgF2コートタイプ)
●各種高次光カットフィルタ及びシャッタ
●流量計(1~10L/min)
●試料室(大気・窒素・真空対応)
●試料台 62×62mm(PTFE製 着脱式)
●試料台スライド機構(試料室外より操作・移動量65mm)
●板電極上下機構(移動量6mm)
●標準試料(金箔Au)
●照射光量測定用光電子増倍管および高圧電源(印加電圧-300V)
●光電子収量測定用微小電流計
・最小レンジ:1pA 最小レンジ分解:10aA(レンジ1pAにおいて)
・最大レンジ:100mA 最大レンジ分解:1.0μA(レンジ100mAにおいて)
・ノイズレベル:0.4fAp-p以内(4×10-16Aノイズ)
●制御コントローラ(GPIB制御)
●GPIB-USBケーブル
●ソフトウェア(英語版)
●制御コンピュータ
オプション品
●測定領域拡張ユニット(3.4~7.5eV用)
・回折格子2400本/240nmブレーズ(MgF2コートタイプ)
・光電子増倍管(3.4~7.5eV用)
●自動シーケンサー(真空引き・真空リーク・窒素置換)
●真空ポンプ(多段ルーツモータ式ドライ真空ポンプ・複合分子ポンプ)
外形寸法
●電源:AC100V 6A *PCおよびオプション品は除く
●窒素:純度99.9995%以上を推奨
導入圧力:0.1~0.4MPa
常時使用流量:約3~5NL/min
窒素IN継手:Swegelok1/4 2箇所
窒素OUT継手:Swegelok3/8 2箇所
●本体:約W660×D460×H500mm*突起部を除く
約W710×D550×H600mm*突起部を含む
●重量:約80kg
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